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増上寺

午後2時、都心の暖められた空気がゆっくり上昇し始めた。気圧のバランスがわずかにくずれ、芝公園の大樹の影に潜んでいた清澄な空気が風になった。増上寺のなかに五月の風が吹き込み、赤い帽子をかぶった幼い地蔵さんが持っている風車がシャーッと音をたてていっせいに廻り始めた。

地蔵さんの背にはそれぞれ名前が書かれている。生きている人が、亡くなった人にできることは、少しでも長くその人を記憶しておくくらいです。でも幼く亡くなった子供を長く記憶しているのは両親だけでしょう。ここなら人通りが絶えません。代が変わっても、帽子を取り替えてくれたり、新しい風車を持たせてくれる人たちがいます。

廻る風車を見ていたら、『千と千鶴の神隠し』の主題歌『いつも何度でも』の一節を思い出した。

生きている不思議 死んでいく不思議
花も風も街も みんなおなじ

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by mscomtec | 2017-05-17 10:30 | 東京散歩 | Comments(0)

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